| 青銅印章の製造法には、「鋳造」と、「鑿(ノミ)による刀刻」があり、同じものがいくつも出来ては困る「官印」などは、「鑿印」が多いといいます。周・秦・漢代の官印はすべて「鑿印」という説もあります。唐・宋以後の官印が鋳造なので、一般的には、周・秦・漢の官印も鋳造と思われているようです。古銅印を見て、「鋳造印」か「鑿印」かを見分けることは容易ではありませんが、図3の印などは、青銅に鑿で直接文字を刻したことが一目瞭然です。印材は、青銅の他に、金や銀、玉(ぎょく)などがあります。印鈕(いんちゅう・つまみのこと)のデザインは、鼻紐・壇紐、瓦紐、亀紐、ラクダ紐など様々です。 秦代、印章に使用された正式な文字は“篆書”であり、これは秦の始皇帝が文字を“小篆”に統一したことに因みます。中には、人物や動物が入った肖形印(図4)もあります。 次の漢代になっても、印章には篆書が用いられ、現在に至ってもなお篆刻には“篆書”が多く使われています。 特筆すべきことは、古代の印章とはいえ、すでに芸術的な創造性に富んでいて、現代の篆刻家をも凌駕していることです。デザインが古代人に先取りされているという面白い現象が篆刻にはあります。中には数千年前の印とは思えないユニークな印も(図5)。現代の篆刻家は、中国古代の印章から取りも直さず多くのヒントを得ています。篆刻は現在、中国や台湾、日本、韓国などの国々で行われています。“四絶(しぜつ)”といえば「詩・書・画・篆刻」であり、篆刻は文人の嗜みの一つに入っています。 ところで、古代人が円筒印章を粘土に転がして使用したように、中国古代の青銅印章も、粘土に“圧す”ものでした。木簡文書を紐でしばり、その結び目に丸めた粘土を付着させ、その上から璽印を押さえつけて封緘していました。これを“封泥(ふうでい)”(図6)といいます。粘土で封緘することにより、第三者が開封することを防いだのです。鍵の代わりといえますね。現在のように、紙に印泥(朱肉)で鈐印する習慣は、ずっと後の隋代(581~619)に興った方法です。 |